2024年05月22日
「介護計画書」の作成はケアマネージャーの主要な業務の一つです。計画書と聞くと難しいというイメージがあるかもしれませんが、「どのような書類でどのような項目があるのか?」を把握すれば理解しやすくなります。
この記事ではケアマネージャーを目指されている方、あるいはケアマネージャーになったばかりの方のために、介護計画書の種類や内容についてわかりやすく解説します。
―― 1-1.ケアマネージャーによって作成されることが通常
2.介護計画書には3種類ある
3.訪問介護計画書(要介護認定を受けた人向け)は7枚程度に分けて作成するのが一般的
―― 3-1.1枚目 居宅サービス計画書(1)利用者情報と介護計画の全体像のまとめ
―― 3-2.2枚目 居宅サービス計画書(2)利用者が必要としていることと目標、ケア内容詳細
―― 3-3.3枚目 週間サービス計画表:サービスと活動(週ごとにまとめる)
―― 3-4.4枚目 サービス担当者会議の要点:話し合いがあったときの議事録
―― 3-5.5枚目 居宅介護支援経過:日々どのように過ごしたかを日報的に記録
―― 3-6.6枚目 サービス利用票:利用記録(時間・場所・サービス内容を日ごとに記載)
―― 3-7.7枚目 サービス利用票別表:サービス利用明細(サービス内容ごとの料金を記載)
4.通所介護計画書(要介護認定を受けた人向け)
―― 4-1.通所介護計画書の例
5.介護予防サービス・支援計画書(要支援認定を受けた人向け)
―― 5-1.介護予防サービス・支援計画書の例
介護計画書は利用者の状況などにあわせ、コンスタントな修正も必要
まとめ:介護計画書は、利用者目線に立って要点をおさえれば難しくない
1.介護計画書とは?
介護計画書はその名のとおり介護計画をまとめた書類です。ケアマネージャーは利用者が自身の状態やニーズに合わせて適切な介護サービスが受けられるよう介護計画を作成し、サービスの提供は介護計画書に基づき実施されます。
介護計画書は介護保険が適用される介護サービスを提供する際には必須となる書類で、ケアマネージャーと利用者、その家族、介護施設が共有します。
介護計画書は、ケアマネージャーによって作成されることが通常
介護計画の作成はケアマネージャーにとっては主要な業務の一つです。利用者やそのご家族に状況や要望などをヒアリングして把握し、一方で介護事業者や施設との調整もしながら、利用者が適切な介護サービスを受けられるよう計画を立て、介護計画書にまとめます。
一般的に介護計画書はケアマネージャーが作成しますが、ごくまれに利用者本人やそのご家族が作成することもあります。
介護計画書には3種類ある
介護計画書は「訪問介護計画書(居宅サービス計画書)」「通所介護計画書」「支援計画書」という3種類があり、それぞれ盛り込むべき内容が大きく異なります。訪問介護計画書や通所介護計画書は要介護認定を受けた方が介護サービスを受ける際に作成する介護計画書です。支援計画書は要支援者の方が支援サービスを受ける際に作成します。
以下でそれぞれの内容や項目について解説しますので、しっかりと押さえておきましょう。
訪問介護計画書(要介護認定を受けた人向け)は7枚程度に分けて作成するのが一般的
訪問介護計画書は利用者が住み慣れた自宅にいながらにして介護サービスを利用できるようにするために作成する介護計画書です。具体的には訪問介護サービスを受ける際に作成します。7枚の書類から構成されていて、利用者の情報や要望、サービスの内容、話し合いの議事録、サービスの利用状況などを記載します。
書式が決まっているわけではありませんが、厚生労働省のホームページにフォーマットが掲載されていますので、それをそのまま活用するか参考にして書式を作成するとスムーズです。
1枚目:居宅サービス計画書(1):利用者情報と介護計画の全体像のまとめ
出典:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領 」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
訪問介護利用者の氏名や住所などの情報、認定状況、介護サービスの基本的な方針などを記載する書類です。これを参照することで、利用者の基本情報や介護計画を把握することができます。
利用者の状態や本人とそのご家族の要望などをヒアリングしながら内容をまとめましょう。また、利用者やご家族との連絡の際にも使用できるよう緊急連絡先なども記載します。
2枚目:居宅サービス計画書(2)利用者が必要としていることと目標、ケア内容詳細
出典:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領 」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
利用者のニーズと提供する介護サービスを一覧表形式で記載する書類です。これを見ることで利用者やそのご家族が抱える課題と、それを満たすために実施すべきサービスの概要がひと目でわかります。
生活の中で解決すべき課題(ニーズ)や目標、支援内容(サービス内容や種別、頻度、期間など)を記載します。短期目標と長期目標を分けて考えると作成しやすいです。
3枚目 週間サービス計画表:サービスと活動(週ごとにまとめる)
出典:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領 」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
提供する介護サービスのスケジュールについて記載する書類です。これを参照すれば1日の介護サービスの流れ、1週間の流れを把握することができます。
わかりやすくいえばタイムテーブルです。縦軸を時間、横軸を曜日にして、利用者がいつ・どのような介護サービスを受けるのかを記載します。通院や必要となる備品なども記載しておくことで、日々の業務の効率化やミスの防止にもつながります。
4枚目 サービス担当者会議の要点:話し合いがあったときの議事録
出典:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領 」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
介護サービスに関する話し合いをした際の記録です。ケアマネージャーが利用者・ご家族と話し合った際、あるいは介護事業者や職員、医療従事者などと会議をした際に作成します。
会議の概要(開催日や場所など)や出席者、検討した項目・内容、結論、残された課題などを記載します。議事録を作成しておくことで話し合いの内容を後から確認することができ、トラブルの防止にもつながります。
5枚目 居宅介護支援経過:日々どのように過ごしたかを日報的に記録
出典:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領 」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
居宅介護支援の実施状況をまとめた書類です。これを閲覧することで、支援の実施状況や利用者の状態、本人やご家族とのやりとりの状況が把握できます。
支援を実施した年月日や項目、内容(訪問や電話などで利用者やご家族と話したことなど)を記録しておきましょう。
6枚目 サービス利用票:利用記録(時間・場所・サービス内容などを日ごとに記載)
出典:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領 」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
居宅介護サービスの具体的な実施計画と実績をまとめた書類です。1ヶ月ごとに作成し、その月にどのような介護サービスをいつ提供するのか?適正に実施されているのか?を把握することができます。
利用者の基本情報や状態、サービスの提供時間帯や内容、事業所名などを記載します。また、日ごとのサービスの提供予定と実施した実績がわかるようにしておくことが重要です。
7枚目 サービス利用票別表:サ ービス利用明細(サービス内容ごとの料金を記載)
出典:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領 」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
介護サービスの内容と金額を記した書類です。介護保険の申請や給付を管理する上で非常に重要な書類となります。
区分支給限度や利用者負担計算の表には介護サービスを提供した事業所の情報やサービスの内容、回数、金額、単位数などをまとめます。また、種類別支給限度管理や要介護認定期間中の短期入所利用日数なども記載します。
通所介護計画書(要介護認定を受けた人向け)
通所介護計画書とは通所介護サービスを受ける利用者の情報や介護計画をまとめた書類です。具体的には利用者がデイサービスを利用する際に作成します。
こちらも居宅介護サービスと同様、要介護認定を受けた方が対象となり、利用者やそのご家族にヒアリングして状態や要望を把握するとともに、事業所や医療機関と調整しながらどのような通所介護を提供するか?という計画をまとめます。やはり書式は定められていないものの、厚生労働省のホームページからフォーマットのダウンロードが可能です。
通所介護計画書の例
出典:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領 」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
通所介護計画書には利用者やその家族にヒアリングをしながら、主に利用者の基本情報(生年月日や要介護度)、通所介護利用までの経緯、本人の状態、自宅の環境、要望やニーズを記載します。
また、通所介護事業者や施設と連携しながらサービスの利用目標やサービス提供内容(ケアの提供方針や内容、実施状況など)、送迎の有無、サービス提供時の1日の流れ、評価などを記載します。
介護予防サービス・支援計画書(要支援認定を受けた人向け)
介護予防サービス・支援とは、要介護状態になることを予防するために生活環境の整備や生活機能の維持・向上をサポートする介護保険サービスです。要支援1もしくは2に認定された方が介護予防サービスや支援を受ける場合は、介護予防サービス・支援計画書の作成が必要となります。
「介護予防サービス・支援計画書」「介護予防支援経過記録」「介護予防サービス・支援評価表」という3つの書類から構成されています。
介護予防サービス・支援計画書の例
出典:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領 」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000764680.pdf
「介護予防サービス・支援計画書」には利用者の基本情報やニーズ・課題、それらを解決するための方針や具体的な支援計画を記載します。
「介護予防支援経過記録」は時系列的に実施した予防支援の内容について記録するための書類です。なお、利用者やご家族とのやりとりをした内容や、サービス担当者会議で話し合った要点などについても記載しておきましょう。
「介護予防サービス・支援評価表」とは実施した予防サービス・支援によって目標が達成できているかどうか?達成していない場合はどこに原因があるのか?といった評価と、今後どのようなサービス・支援を提供していくか?といった方針を明らかにするための書類です。
目標や評価期間、目標達成状況、目標達成できなかった原因の分析、今後の方針について記載します。
介護計画書は利用者の状況などにあわせ、コンスタントな修正も必要
介護保険の対象となるサービスを提供するためには介護計画書を作成しなければなりません。しかし、「必要だから書類を作る」、「作成したら終わり」という考え方では不十分です。
介護計画書に従って適正な介護サービスが提供できているか?を常にチェックし、必要に応じて介護計画を見直し改善していくことで、より利用者やご家族のニーズに合った介護サービスが提供できるようになり、関係各所との連携もスムーズになります。
まとめ:介護計画書は、利用者目線に立って要点をおさえれば難しくない
介護計画書の作成はケアマネージャーにとっては非常に重要な仕事です。介護計画によって利用者が適切な介護サービスを受けられるかどうかが決まってくるため、不安もあるかと思います。しかし、介護計画書の作成・記入は慣れてくれば手際よくできるようになるため、それほど心配する必要はありません。
信頼されるケアマネージャーになるには、介護計画書をしっかり作成するのはもちろん、介護計画を柔軟に修正して利用者により良い介護サービスを提供することを意識することが大切です。
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介護21コラム記事監修者
株式会社アドバン
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