2023年12月22日
介護士の給料はどのくらい?収入を上げる方法もあわせて紹介
介護士とは、介護施設や医療機関、ご自宅などで、介護が必要な人の身の回りのお世話をする職種です。なお、国家資格である介護福祉士を略して介護士と呼ぶケースもありますが、ここでは資格の有無にかかわらず介護業務に従事する人全般を「介護士」とします。
高齢化が進む日本では介護士の需要がますます高まっていますが、実際に現場で働く介護士の給料はどのくらいなのでしょうか。
この記事では、介護士の月給や賞与はいくらなのか具体的な給料事情とともに、介護士が収入アップを目指す方法をご紹介します。介護業界への就職・転職をお考えの方はぜひ参考になさってください。
―― 介護士の平均月給(常勤)
―― 給料の内訳
―― 介護士の平均時給(非常勤)
―― 介護士の年間賞与
2.介護士は資格があると給料が上がる?
3.介護士が収入アップを目指す方法
―― 夜勤の回数を増やす
―― 同じ職場で勤続年数を重ねる
―― 介護福祉士の資格を取得する
―― 生活相談員やケアマネージャーを目指す
4.まとめ
1.介護士の給料事情
厚生労働省が公表しているデータをもとに、介護業務に従事する介護士の給料事情について詳しくご紹介します。
介護士の平均月給(常勤)
厚生労働省の統計「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、常勤・月給で働く介護士の平均給与額および平均基本給額は次のようになっています。
平成31年 → | 令和2年 | 金額差 | |
平均給与額 | 300,120円 → | 315,850円 | +15,730円 |
平均基本給額 | 179,100円 → | 182,260円 | +3,160円 |
参考:厚生労働省|令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
※対象:介護職員処遇改善加算(I)~(V)を取得(届出)している事業所
令和2年のケアマネージャーの給与額・基本給額はともに、前年(平成31年)よりも金額アップしています。ケアマネージャーに限らず、介護職員や看護職員、生活相談員など他の常勤介護従事者の給料額は近年増加傾向にあります。
給料の内訳
平均給与額には、基本給・手当・一時金(賞与等)が含まれます。常勤・月給で働く看護師の給料内訳は次のとおりです。
平成31年 → | 令和2年 | 金額差 | |
平均給与額 | 300,120円 → | 315,850円 | +15,730円 |
基本給 | 179,100円 → | 182,260円 | +3,160円 |
手当 | 70,350円 → | 78,440円 | +8,090円 |
一時金(賞与等) | 50,660円 → | 55,150円 | +4,490円 |
参考:厚生労働省|令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
※対象:介護職員処遇改善加算(I)~(V)を取得(届出)している事業所
介護士の場合、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの入所型では夜勤が発生するため、基本給に対し手当は多めになる傾向があります。
介護士の平均時給(非常勤)
厚生労働省の統計「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、時給で働く非常勤介護士の平均給与額および平均基本給額は次のようになっています。
平成31年 → | 令和2年 | 金額差 | |
平均給与額 | 106,750円 → | 112,500円 | +5,750円 |
平均基本給額 | 1,090円 → | 1,110円 | +20円 |
参考:厚生労働省|令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
※対象:介護職員処遇改善加算(I)~(V)を取得(届出)している事業所
常勤介護士と同様に、時給で働く非常勤介護士の給与額・基本給額も増加傾向にあります。
介護士の年間賞与
厚生労働省の統計「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、令和2年における介護士の年間の賞与額は約57.3万円です。
賞与額は事業所が大きくなるほど増える傾向があり、事業所の規模が10~99人の場合は約48.6万円、100~999人の場合は約59.8万円、1,000人以上の場合は約65.8万円でした。
2.介護士は資格があると給料が上がる?
介護関連の資格は複数ありますが、介護士は資格を持っていなくても就業できるのが一般的です。
しかし、厚生労働省の統計「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」から「資格を持たない介護士」と「資格を持つ介護士」の給料を比較すると、やはり有資格者の給料の方が高くなっています。
平均給与額(令和2年) | 平均勤続年数 | |
●資格なし | 275,920円 | 5.5年 |
〇資格あり 全体 | 318,150円 | 8.2年 |
〇資格あり 介護福祉士 | 329,250円 | 8.9年 |
〇資格あり 実務者研修 | 303,230円 | 6.7年 |
〇資格あり 介護職員初任者研修 | 301,210円 | 7.3年 |
参考:厚生労働省|令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
※対象:介護職員処遇改善加算(I)~(V)を取得(届出)している事業所
また、平均勤続年数に関しても、無資格者よりも有資格者の方が長いことがわかります。
資格がなくても介護士として従事できますが、介護関連の資格を取得すれば給料を上げやすいでしょう。資格は「介護の知識・技術が身についている」という証明にもなり、習得したスキルは介護の現場で役立ちます。資格取得にチャレンジする場合は、まずは介護の仕事の入門資格といえる「介護職員初任者研修」から始める必要があります。
3.介護士が収入アップを目指す方法
介護士が今よりも給料を上げていくにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、介護士が収入アップを目指すための具体的な方法をご紹介します。
夜勤の回数を増やす
介護サービスが24時間提供される入所型の施設では、介護士に夜勤が発生します。夜勤があれば夜勤手当が支給されるため、夜勤の回数を増やしていくことで収入アップにつなげられるでしょう。
また、介護士には夜勤の時間帯のみ働く「夜勤専従」という働き方もあります。同じ勤務時間でも日勤で働く介護士より給料が高くなるため、収入アップを目指したい方は選択肢のひとつとして検討してみるとよいでしょう。
同じ職場で勤続年数を重ねる
通常、仕事は勤続年数を重ねるほど給料も増えていく傾向があります。
厚生労働省の統計「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」から、介護士の勤続年数ごとの平均給与額をまとめました。
勤続年数 | 平均給与額(令和2年) |
---|---|
1年 | 283,480円 |
2年 | 287,940円 |
3年 | 291,010円 |
4年 | 296,700円 |
5~9年 | 307,980円 |
10年以上 | 350,820円 |
参考:厚生労働省|令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
※対象:介護職員処遇改善加算(I)~(V)を取得(届出)している事業所
令和2年の平均月給では、5~9年目の中堅になると30万円を超え、10年以上のベテランは35万円を超えています。同じ職場で継続して働くことができれば、年数とともに給料も上がっていく可能性が高いといえるでしょう。
介護福祉士の資格を取得する
介護福祉士とは「社会福祉士及び介護福祉士法」によって定められている国家資格です。
介護現場での仕事内容は大きく変わりませんが、介護業務に従事する人全般を指す介護士とは異なり、介護福祉士は資格がなければ名乗ることはできません。また、介護福祉士はより専門的な立場として、他の介護士に業務指導をおこなうことがあります。
厚生労働省の統計「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」から、介護福祉士と介護士(保有資格なし)の給料を比較しました。
平均給与額(令和2年) | 平均勤続年数 | |
介護福祉士 | 329,250円 | 8.9年 |
介護士(保有資格なし) | 275,920円 | 5.5年 |
参考:厚生労働省|令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
※対象:介護職員処遇改善加算(I)~(V)を取得(届出)している事業所
介護福祉士の月給は、無資格の介護士よりも5万円以上高くなっています。勤続年数も長いことから、介護福祉士の資格があれば安定して長く働きやすいといえるでしょう。
生活相談員やケアマネージャーを目指す
介護士が給料を上げるには、生活相談員やケアマネージャーを目指す選択肢もあります。
厚生労働省の統計「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」を見ると、生活相談員やケアマネージャーの給料は介護士よりも高いことがわかります。
平均給与額(令和2年) | |
介護職員 | 315,850円 |
生活相談員・支援相談員 | 343,310円 |
ケアマネージャー | 357,850円 |
参考:厚生労働省|令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
※対象:介護職員処遇改善加算(I)~(V)を取得(届出)している事業所
介護士の収入アップの方法としてはもちろん、介護の実務経験を活かしながらキャリアアップしていきたい方にもおすすめです。
4.まとめ
令和2年における常勤介護士の平均月給は315,850円で、前年(平成31年)よりも15,730円アップしました。保有資格別でみると、国家資格である介護福祉士資格を持つ介護士は、資格を持たない介護士よりも5万円以上月給が高くなっています。
介護士が今よりも収入を上げるには、夜勤回数を増やしたり継続年数を重ねたりするだけでなく、介護福祉士や生活相談員、ケアマネージャーを目指す方法もあります。安定した収入を得ながら介護業界で長く活躍したい方は、介護士からのキャリアアップを視野に入れるとよいでしょう。
介護21コラム記事監修者
株式会社アドバン
人材採用サポート・Web事業・印刷物制作を中心とする事業を展開する株式会社アドバンを1991年に設立。人材採用サポートの中でも、医療・介護業界に特化する専門求人サイト『医療21』『介護21』を運営。リアルな求人情報を届け、人材紹介ではない”ベストマッチングの場”を提供している。