2024年01月26日
介護士の需要は年々高まってはいるものの、まだまだ給与水準が低い業界であるのが実情です。しかし、働き方を工夫したり資格を取得したりしてステップアップしていけば、収入アップも十分可能です。
この記事では高収入な介護士になるための求人の探し方や給与アップのポイントをご紹介します。
―― 介護士の平均月給は32万円弱
―― 勤続年数が上がるほど給与も増える
2.介護士の給料は将来的にどうなる?
―― 2024年6月の介護報酬改定で給与アップの見込み
―― 2024年2月から介護職員に月6000円の賃上げ
3.介護士で高収入の求人を探すときのポイント
―― 基本給以外の手当や賞与などを確認する
―― 長く勤められるかを見極める
4.介護士で高収入を得るためのポイント5つ
―― 夜勤手当を増やす
―― 同じ職場で勤続年数を増やす
―― キャリアアップする
―― 介護福祉士の資格を取得する
―― 生活相談員やケアマネージャーを目指す
5.介護士の給料についての気になるQ&A
―― 介護士の給料では生活できないって本当?
―― 介護士の賃上げはいつから始まるの?
6.まとめ:介護士で高収入を目指す方法はある!
介護士の給与水準ってどのくらい?
まずは厚生労働省が公表している平均月給などのデータをもとに、介護士のリアルな給与水準を確認しておきましょう。
介護士の平均月給は32万円弱
厚生労働省が発表している『令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要』によると、常勤・月給制で働いている介護士の平均給与額は一ヶ月あたり318,230円です。そのうち平均基本給額は186,840円で、手当が半分近くを占めています。年収に換算すると380万円程度になります。
(※令和4年12月時点 対象:介護職員等ベースアップ等支援加算を取得(届出)している事業所)
勤続年数が上がるほど給与も増える
一般的な企業では定期昇給があり、勤続年数が上がれば上がるほど給料も上がっていきますが、介護士についても同様です。『令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要』によると1年目の介護士の平均給与額は月281,990円ですが、2年目になると288,190円と6,200円アップしています。
その後も給与はどんどん上がっていき、4年目では月給30万円を突破、10年以上の介護士の平均給与は346,510円です。
統計データで見ると、だいたい毎年5,000~1万円のペースで毎年定期昇給していくと考えられます。
介護士の給料は将来的にどうなる?
近年働き方改革が進み、介護士の待遇改善に取り組んでいる事業所も増えてきました。そのため今後は今よりもさらに平均給与は上がっていくと考えられます。ここからは介護士の給料はどうなっていくのか?将来的な見通しについて考えてみましょう。
2024年6月の介護報酬改定で給与アップの見込み
介護士の給与は介護報酬が原資となります。介護報酬とは介護サービスを提供する対価として利用者と国が支払うものです。そのため、介護報酬が多ければ多いほど、介護士の収入アップにもつながるということになります。
2024年6月には介護報酬が1.59%引き上げられる予定であり、それが介護士の給与にも反映される見込みです。近い将来、介護士の待遇が今よりも改善されると期待されています。
2024年2月から介護職員に月6000円の賃上げ
さらに、厚生労働省では上記の介護報酬の引き上げまでの間を補填するために、2024年2月から5月までの間、介護士の月6,000円の賃上げを実現すべく介護事業所に補助金を出す方針です。
2024年6月を待たずして介護士の給与アップが実現する可能性も大いにあります。なお、補助金は6月以降に関しては介護報酬に組み込まれ、恒久的に支給される見込みです。
介護士で高収入の求人を探すときのポイント
以上のように介護士の賃金アップは国を挙げて取り組まれていますが、そもそも介護施設は介護報酬を原資として介護士の給料を支払っているわけなので、施設ごとの差が生まれにくい業界です。ただ、その中でも24時間体制の介護施設では夜勤があるため給与は高い水準にあります。
介護士で高収入な求人を探す際には以下の2つのポイントに着目してみましょう。ただし、好条件をうたって求職者を集める、いわゆる「おとり求人」もあるため、求人サイトで求人情報を見る際には詳細かつ具体的な募集情報が記載されているか?最終更新日が古すぎないか?もチェックしてください。
基本給以外の手当や賞与などを確認する
基本給の額は当然重要です。ボーナスも「基本給の◯ヶ月分」というように、基本給を基準に決められます。ただ、それ以外にも手当の種類や額、賞与の有無についても確認しておきましょう。ここが施設によって差が生じやすい部分です。
夜勤手当や資格手当てはいくら支給されるのか?交通費はしっかり支給されるのか?どの範囲まで支給されるのか?をチェックしましょう。もし交通費が支給されない場合は、自宅から遠ければ遠いほど金銭的な負担が大きくなってしまうので、施設までの通勤方法や距離も考慮する必要があります。
長く勤められるかを見極める
介護施設も一般的な企業と同じように勤続年数が上がれば上がるほど給与水準も高くなるので、一箇所で長く勤めたほうが高収入になりやすいです。長く勤められるかどうかは、待遇はもちろん人間関係や職場の環境にも大きく左右されます。施設の雰囲気が自分に合っているかどうか?もしっかりと確認しておきましょう。
この点は求人情報だけではなかなかわかりません。気になる求人があれば可能な限り施設見学に行ってみて、スタッフ間の連携は取れているか?利用者とどのように接しているか?自分は施設に馴染めそうか?を目で見て確認してみましょう。
特に未経験で介護士を目指されている方は、業務の内容を知るという意味でも施設見学が必須といえます。ぜひ一度介護施設の見学に足を運んでみましょう。また、介護21では施設の様子を隅々まで掲載することで「Webで施設見学」をすることが可能です。
独自の取材によって施設の実際の様子やそこで働くスタッフなど、他のサイトでは見ることのできない情報を掲載しています。情報収集の際はぜひこちらも活用してみましょう。
介護士で高収入を得るためのポイント5つ
給与額が高い施設を選ぶ以外にも、介護士で高収入を目指す道はあります。ここからは仕事をしながら収入を上げていく方法について5つご紹介します。
夜勤手当を増やす
夜勤がある施設は夜勤手当がつくため給与水準が高くなります。夜勤があるのは特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、介護サービスを24時間提供している施設です。
夜勤手当はだいたい1回あたり3,000円~1万円程度支給され、夜勤を増やすことで収入がアップします。また、「夜勤専従」といって、夜勤のみを担当するという働き方もあり、その場合は同じ勤務時間でも日勤で働く介護士よりも高収入となります。
同じ職場で勤続年数を増やす
繰り返しになりますが、勤続年数が上がれば上がるほど、給与も高くなります。厚生労働省の調査結果では1年目の平均給与額は281,990円ですが、それが勤続10年以上になると346,510円になります。
途中で離職しないよう、できるだけ長く勤められるよう、待遇だけでなく仕事内容や職場の雰囲気にも着目して職場選びをしましょう。
キャリアアップする
長く勤めて知識やスキルを身につければ介護主任やフロアリーダーなどの役職にキャリアアップできる可能性もあります。役職がつけば手当がついて給与額がアップし、昇給やボーナス査定でも有利に働くこともあります。
また、資格を取得すればケアマネージャーやサービス提供者、支援相談員などの専門職に就くこともでき、やはり収入アップのチャンスが拡がります。
介護福祉士の資格を取得する
資格がなくても介護士になることは可能です。しかし、専門の資格を取得することで資格手当が支給され収入がアップします。『令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要』によると、無資格者の平均給与額は26万円程度ですが、介護職員初任者研修や実務者研修の受講者は30万円、介護福祉士の取得者は33万円にまで給与がアップしています。
介護の資格はさまざまありますが、まずは介護職員初任者研修、実務者研修を受講し、介護福祉士を目指すというルートがおすすめです。
介護職員初任者研修、実務者研修は比較的難易度が易しく、特に初任者研修は誰でも取得可能です。実務者研修を受講すれば、介護福祉士が受験できるようになります。
生活相談員やケアマネージャーを目指す
介護福祉士を取得して収入アップが実現でき、さらに収入を上げたいという方は生活相談員や介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格取得がおすすめです。生活相談員の平均給与額は35万円、生活支援相談員の平均給与は37万円で、介護福祉士よりもさらに高水準となっており、無資格者と比較すると大きな差があります。
ただし、どちらも受験資格を得るまでのハードルが高く、合格率も低い難関資格です。特に生活相談員は社会福祉士の資格が必須となっているのが一般的であり、まずは社会福祉士資格の取得を目指すことになるかと思います。
道のりは長いですが、介護の実務経験を活かしながらキャリアアップしたいと考えられている方にはおすすめです。
介護士の給料についての気になるQ&A
以上で介護士の給与実態を見てきました。最後に皆さんが介護士の収入について抱きがちな疑問・不安にQ&A形式でお答えします。
介護士の給料では生活できないって本当?
介護士は給料が低く、それだけでは生活はできないというイメージがあるかもしれません。確かに平均年収は380万円で一般企業に比べれば低めの水準といえます。しかし、アパレル販売員の平均年収が350万円であることを考えると低すぎるというわけでもなく、生活ができないというレベルとはいえません。
前述のとおり給与水準が高い施設を探す、長く勤めてキャリアアップを目指す、資格を取得するなど収入をアップさせる方法はいくつもあります。
介護士の賃上げはいつから始まるの?
すでに介護士の処遇改善は国あるいは施設ごとに定期的に行われており、給与額は上がっています。2024年2月からは月額6,000円の賃上げを実現するために、補助金制度が導入される予定であり、さらに同年6月には介護報酬の改定もあります。
2024年は業界全体で給与水準の底上げが期待されています。
まとめ:介護士で高収入を目指す方法はある!
令和4年度に発表された厚生労働省の調査結果によると、常勤・月給制で働く介護士の平均給与額は318,230円です。夜勤手当や資格手当、役職者手当などを含めると、もっと収入は高くなります。それに加えて長く働くことで、定期昇給による収入アップも見込めます。
介護士=低収入というイメージがあるかと思いますが、決して悲観する必要はありません。収入アップのチャンスはいくつもあります。
介護士で収入アップを目指すのであれば、今回ご紹介した方法を組み合わせて自分に合ったやり方でキャリアアップを目指していきましょう。
介護21コラム記事監修者
株式会社アドバン
人材採用サポート・Web事業・印刷物制作を中心とする事業を展開する株式会社アドバンを1991年に設立。人材採用サポートの中でも、医療・介護業界に特化する専門求人サイト『医療21』『介護21』を運営。リアルな求人情報を届け、人材紹介ではない”ベストマッチングの場”を提供している。