2024年02月26日 最終更新日:2024年11月14日
介護業界で働きたいと思ったとき、求人情報で「介護スタッフ」や「介護士」「介護職」などを目にして「どれを選べばいいの?」「どう違うの?」と戸惑うことがあるかもしれません。この記事では、「介護スタッフ」とはどんな仕事で、どんな勤務先があるのか、どんな資格が必要なのかを詳しくお伝えしていきます。
介護の仕事については、次の記事も参考にしてください。
介護の仕事とは?具体的な仕事内容、職場の種類、やりがいについて解説 | 介護21
介護福祉士の仕事とは?具体的な仕事内容や1日の流れを紹介
ケアマネージャーの仕事内容と資格について | 介護21
訪問介護の仕事内容は?必要な資格や給料、働き方について詳しく解説
―― 1-1.身体介護とは?
―― 1-2.生活援助とは?
―― 1-3.その他の仕事
2.介護スタッフの勤務先は?仕事に違いはある?
―― 2-1.特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
―― 2-2.介護老人保健施設
―― 2-3.介護付き有料老人ホーム
―― 2-4.サービス付き高齢者向け住宅
―― 2-5.グループホーム
―― 2-6.デイサービス(通所介護)
―― 2-7.訪問介護事業所
3.介護スタッフに資格は必要?勤務先別に解説
―― 3-1.特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの入所施設
―― 3-2.住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅
―― 3-3.デイサービス(通所介護)
―― 3-4.訪問介護事業所
4.「介護職員初任者研修」とは
5.一歩進んだ「介護福祉士実務者研修」も
まとめ
1.介護スタッフとは?どんな仕事をするの?
介護スタッフとは、老人ホームや介護施設、個人宅などで介護が必要な方のサポートをする仕事の総称です。介護職員、介護職、介護士、介護ヘルパー、ホームヘルパーなどの名称がありますが、資格の有無や勤務先の業種などによって名称が変わります。介護スタッフの仕事には、大きく「身体介護」と「生活援助」の2つがあり、それ以外にも事務や管理業務、レクリエーションなどを担当します。
1-1.身体介護とは?
「身体介護」とは、要介護の方の身体に直接触れてお世話をすることをいいます。いわゆる日常生活介護と呼ばれるものです。
身体介護にあたるのは、次のような介助です。
- 起床・就寝介助:起床や就寝のお声がけ、着替え、洗顔などの介助
- 排せつ介助:トイレへの移動や衣類の脱ぎ着の介助、おむつ交換など
- 食事介助:食事がしやすい姿勢や咀嚼、嚥下の介助など
- 口腔ケア:歯磨きや義歯の手入れの介助など
- 体位交換:定期的に体位を変えるなどの介助
- 移乗介助:歩行や車いすでの移動の介助、車いすへの移乗など
生活全般の面倒を見ることが守備範囲となりますので、朝から晩まで業務が発生します。
この仕事は介護保険制度上は無資格での就業が可能です。
ただし個別の施設では、「介護職員初任者研修修了者(旧・ホームヘルパー2級)以上」を雇用条件としているところも多く、介護福祉士資格者はより有利になる状況にあります。
1-2.生活援助とは?
「生活援助」とは、要介護の方の身体に直接触れない、掃除や洗濯、調理などの身の回りの家事のサポートをいいます。いずれも介護保険が適用されるサービスで、介護サービスの利用者の方の援助に限定されています。日常の手伝いが中心なので、資格がなくても対応可能な場合があります。
生活援助にあたるのは、次のような介助です。
- 掃除:要介護の方が暮らしているスペースの掃除や、ゴミ出しなど
- 洗濯:衣服の洗濯や乾燥、収納、アイロンかけなど。シーツやタオルも含まれます
- 調理:要介護の方の日常の食事の調理や配膳、下膳、片づけなど
- 買い物:食材や日用品など日常生活に必要な商品の買い物
- 外出介助:外出前の服装や持ち物の準備、移動中の介助、外出先での介助など
1-3.その他の仕事
介護スタッフの仕事には、電話での対応といった事務や備品などの管理業務、レクリエーションの企画と実施、職種によってはメンタル面でのケアなどがあります。実際の業務内容は、介護事業所や利用者の状態によって異なります。
2.介護スタッフの勤務先は?仕事に違いはある?
介護スタッフの仕事内容は、勤務先の施設によってもさまざまです。ここでは、代表的な施設ごとに介護スタッフの仕事内容を紹介します。
介護を提供する施設には、大きく分けて入所型と通所型があります。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、介護老人保健施設や、有料老人ホーム、認知症グループホームなどの入所型の施設の場合、24時間介護となります。そのため、日勤・遅番・夜勤といったシフト制になることが多いです。
さらにデイサービス(通所介護)や訪問介護事業所なども介護スタッフの勤務先となります。
2-1.特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
要介護3〜5の方が対象で、自宅での生活が困難な方が長期入所して、介護や医療を受けられる公的な介護施設です。特別養護老人ホームでのお仕事は、着替えや食事、入浴、排せつの介助といった身体介護をメインに、利用者の状態に合わせた個別ケア、生活支援、医療に関する仕事も加わります。
2-2.介護老人保健施設
要介護1〜5までの方が短期入所して、医療、介護、リハビリテーションを受けることができる公的な介護施設です。利用者の在宅復帰を目指して、機能回復や自立支援に重点を置いたサービスを提供します。
介護老人保健施設でのお仕事は、特別養護老人ホーム(特養)と異なり、医療に関する仕事は比較的少ないです。主な仕事内容は、身体介護、生活援助、見守り・観察などです。
2-3.介護付き有料老人ホーム
主に民間事業者が運営する介護付き有料老人ホームは、介護などのサービスがついた高齢者向け居住施設です。原則として、自立できる人から要介護5の方まで入居できます。
介護付有料老人ホームでのお仕事は、主に着替えや食事、入浴、排せつなどの身体介護や、
自立した日常生活を送るための生活援助、見守り・観察などです。専門職が行う機能訓練の補助、レクリエーションの実施なども含まれます。
2-4.サービス付き高齢者向け住宅
通称「サ高住」と呼ばれるサービス付き高齢者向け住宅は、要介護度が高くない高齢者を対象にしたバリアフリー住宅です。安否確認や生活相談などのサービスがついています。サービス付き高齢者向け住宅で働く介護スタッフの主な仕事も、安否確認と生活相談になります。
一般的なサービス付き高齢者向け住宅であれば、介護サービスは付帯しませんが、介護サービス付きのサ高住もあり、その場合は、身体介護や生活援助などが主な仕事になります。
2-5.グループホーム
認知症と診断された要介護者が共同生活を送る少人数制の居住型施設が、グループホームです。民間事業者やNPOが運営しています。
介護スタッフは、入居者それぞれの症状に合わせ、認知症の進行を遅らせることなどを目的に、必要に応じた生活のサポートをします。身体介護よりも、生活援助や外出援助が主な仕事内容です。
2-6.デイサービス(通所介護)
デイサービスとは、デイサービスセンター(通所介護事業所)に要介護者が日帰りで通うタイプの介護サービスです。デイサービスは、要介護者ができるだけ自宅で暮らし続けられることを目的としています。
そのため、介護スタッフの仕事は、身体機能の維持のための機能訓練やレクリエーションの実施、食事・入浴・排せつなどの身の回りの介助、朝と夕方の送迎などになります。通所型サービスなので、基本的に日勤となります。
2-7.訪問介護事業所
訪問介護とは、要介護者の自宅を訪問して提供する介護サービスです。介護スタッフは、食事や入浴、排せつの手助けなどの「身体介護」や、調理や洗濯、掃除、買い物などの「生活援助」を中心に、要介護者の生活状況に合わせたサポートを行います。
そのため、勤務先は訪問介護サービスの事業所で、職場は要介護者の自宅になります。訪問介護員(ホームヘルパー)として働くには、介護職員初任者研修の修了が必須です。
3.介護スタッフに資格は必要?勤務先別に解説
2024年4月より、すべての介護サービス事業所で直接介護に携わる無資格の従業員は、「認知症介護基礎研修」の受講が義務付けられました。ただし、これがないと就職できないという資格ではなく、求人によっては「無資格でもOK」の場合もあります。
また、勤務先や従事する業務によっては、介護の資格を求められる場合があります。主な勤務先別に紹介します。
3-1.特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの入所施設
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなどの居住施設では、法律上は資格要件はありません。施設の判断によって、「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」以上の資格が求められることもあります。
3-2.住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、「介護職員初任者研修」修了者以上の資格が必要になります。
3-3.デイサービス(通所介護)
デイサービスで働く場合は、「介護職員初任者研修」修了者以上の資格が推奨されています。
3-4.訪問介護事業所
訪問介護事業所で訪問介護員(ホームヘルパー)として働くには、「介護職員初任者研修」の修了が必須です。さらに上位の資格である、「介護福祉士実務者研修」や「介護福祉士」の資格を持つ人も働くことができます。
4.「介護職員初任者研修」とは
前項でお伝えしたように、「介護職員初任者研修」の資格があると、勤務先の幅が広がります。「介護職員初任者研修」は、介護職としてのいわばスタートの資格ともいうべきものです。介護の基礎から応用までを学ぶことができます。
受講資格は特になく、当該研修を取得するためには約130時間に及ぶ講習を受ける必要があります。
内容は自宅学習と通学での学習を合計したもので、すべてのカリキュラム修了後に1時間程度の筆記試験を受けて受講終了となります。
通学や短期集中、通信教育主体などさまざまなプランが提供されていますので、受けやすいものを選択することがポイントとなります。
介護職員初任者研修については、こちらでも詳しくお伝えしています。
介護職員初任者研修は働きながら取れる?資格の取得方法やメリットを解説
5.一歩進んだ「介護福祉士実務者研修」も
さらに介護職員初任者研修より上位の資格である「介護福祉士実務者研修」を受けることもプラスになります。
「介護福祉士実務者研修」は、幅広い利用者に対する介護提供能力を獲得することが目標となっています。国家資格である介護福祉士の受験要件の一つでもあり、さらなるキャリアアップを目指す場合は受講しておくとよいでしょう。
「介護福祉士実務者研修」の受講資格は特になく、無資格の方でも受講できます。無資格から実務者研修を修了するには、450時間の科目を受講することが必要です。
また「介護職員初任者研修」を既に受講済みの場合には受講科目が一部免除になります。
受講にあたっては通信教育を活用したり地域での講座の受講などさまざまな方法が用意されていますので、勤務中の仕事に支障を与えない方法の選択が望ましいといえます。
6.まとめ
介護スタッフの仕事内容は、勤務する施設の種類や業務内容によって多岐に渡ります。介護スタッフとして働きはじめる場合、必ずしも資格が必要ではありませんが、要介護者の身体介護や生活援助などに必要な知識は求められます。
また、資格を持つことで、キャリアアップの可能性が広がることも事実です。介護の仕事に興味がある方は、まずは介護職員初任者研修の受講を検討してみてはいかがでしょうか。
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介護21コラム記事監修者
株式会社アドバン
人材採用サポート・Web事業・印刷物制作を中心とする事業を展開する株式会社アドバンを1991年に設立。人材採用サポートの中でも、医療・介護業界に特化する専門求人サイト『医療21』『介護21』を運営。リアルな求人情報を届け、人材紹介ではない”ベストマッチングの場”を提供している。